本読んだ〜 知事抹殺

普段書評は書かないんですが、読んでるって言ったら感想聞かれまして
ツイッターの140文字じゃ収まらなかったんで感想文(笑)


知事抹殺 つくられた福島県汚職事件

知事抹殺 つくられた福島県汚職事件




内容
東京一極集中に異議を唱え、原発問題、道州制などに関して政府の方針と真っ向から対立
「闘う知事」として名を馳せ、県内で圧倒的支持を得た佐藤栄佐久
第五期18年目の2006年9月、県発注のダム工事をめぐる汚職事件で追及を受け、知事辞職
その後逮捕される。08年8月、第一審で有罪判決を受けるが、控訴するまでの手記。



本書のテーマを一言で言うと
国(霞ヶ関と呼ばれる中央省庁の官僚機構)に対し異を唱え行動した為に
国策逮捕により社会から抹殺された知事の手記である


対立の一軸である被告側からの手記である事と
現在も上告により係争中である事を踏まえ
本書のテーマである、国策逮捕で在るか否か、有罪か無罪か
の判断は差し控えたいが、
そこに至るまでの経緯の中で書かれた原発に関する記述は
今まで聞く事の出来なかった原発立地県の首長の発言として注目に値する


念の為に言っておくが佐藤氏は原発反対派ではない
エネルギー政策の中での福島県の役割を理解すると同時に
県民に対し安全を保障する立場を貫いただけである


事故隠し、データ改ざん等々の東京電力の不誠実さ
安全を保障すべき原子力安全・保安院の杜撰な姿勢
国会議員ですら関わる事を許されない官僚機構の元での原子力政策の無責任さ


実務に当たって感じた原子力政策の矛盾を指摘し不満を訴えた事が
結果として国に対し弓を引き、東電からは「佐藤憎し」とされてしまう


今回の震災により引き起こされた福島原発の事故の遠因
そしてその後の事故対応への国民の不安・不満・不信は
起こるべくして起こっていると確信させるに至る下地がすでにあった事が
彼の手記から読み取る事が出来る


「自分に関わりあいが出来て、初め関心を持つ人たち」へ向けた
原発立地県の気持ちが消費地である首都圏の皆さんにわかって貰えないもどかしさ」
を今重く受け止める契機として
またこれから我々が結論を出さねばならない、原発の是非を考える上で
お勧めです!!!


今日の1曲:ずっとウソだった by 斉藤和義
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