映画観てきた〜 冬の小鳥&酔いがさめたら、うちに帰ろう

単館映画館


それはシネマ野獣たちの魔窟
聞いたこともないタイトルと監督名が飛び交い
映画100年の歴史を踏まえた技術論が交わされ
互いの持てる知識とマニア魂をぶつけ合う戦場


タイトルや希望の席をスラスラ言えなければ
窓口の硬質プラスチックの仕切りのむこう側にいる
チケット担当の女性からの冷笑と憐れみの眼差しを受け
チケットを売ってもらえず


上映中にくしゃみなどした時には
紙コップのジュースが頭から浴びせられ


演技に対するリアクションが間違っていようものなら
後頭部目掛けてポップコーンがマシンガンのごとく連射される


そう、そこはシネマ野獣たちのバトルロイヤルのリング



なんてイメージがあったもので
前夜から (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル


無事の帰還を神仏に祈り
身を清め、新しい下着を用意し、遺書を認め
「あ〜なんでこんな映画選んじまったかな…」と後悔に苛まれ
眠れぬ夜を過ごしたのでありました


本日は魔窟潜入レポをお届けするのであります (。・x・)ゝ





・冬の小鳥 Une vie toute neuve

冬の小鳥 予告編


【ストーリー】


1975年、ソウル近郊。
9歳のジニは状況もわからないまま父親に連れられて
カトリック児童養護施設に預けられる。
父のもとに帰りたいと願うジニは
院内の人々に反発を繰り返し、脱走も試みる。
そんなジニを気にかけるのは年上のスッキだった。
2人は庭で傷ついた小鳥の世話を始める。
スッキはアメリカや遠い国への憧れをジニに語り
一緒に外国へ行こうと誘う。
かたくなだったジニの心も、少しずつ和らいでいくが…。


【監督】 ウニー・ルコント
【脚本】 ウニー・ルコント
【出演】 キム・セロン  (Jinhee)
     コ・アソン   (Ye-shin)
     パク・ミョンシン(Bomo)
     ソル・ギョング (Jinhee's father)
     パク・ドヨン  (Sookhee) 他



魔窟探検第一弾として新宿武蔵野館
タイトル間違えないように
もうエレベーターの中で何度も復唱して
向かった窓口…


あれ?窓口じゃなくて綺麗なカウンターじゃん…
しかも制服のお姉さんのフレンドリーな事
その上可愛い(*´▽`*)
一言言えば「はい!」と元気よく復唱してくれ
もたもたと財布や手帳をカバンから探す僕を
暖かな眼差しで見つめ、表情には微笑みさえ浮かべてる…
戦場の天使や!!!


10時40分の回
80席のスクリーンに約40人程の観客
そのほとんどがご年配の方
しかも妙齢の女性グループ多数でした



で、映画の方ですが
親に捨てられた少女の孤独と絶望
そこからの再生と新たな旅立ちまでを
孤児院を舞台に彼女の心象風景を中心に
綴られていく物語


仲良くなったスッキと二人で可愛がっていた小鳥
雨に打たれ、寒さに震える小鳥に重ねた自らの立場


死んでしまった小鳥を庭に埋めながら
孤児院から出て外国へ行くことを話す二人


早く孤児院から抜け出したくて
たどたどしい英語でアメリカ人の里親候補に
自分をアピールするスッキ


いつまでも父親を待ちたくて
アピールする事を拒み殻に閉じこもるジニ


無事里親が決まり孤児院から出て行くスッキ
蛍の光と韓国の民謡で送り出すジニ


また一人ぼっちになったジニは
小鳥を埋めた場所を掘り返し
何日もかけて深い穴を一人でこっそり掘り続ける


完成した穴に横たわり
自らの上に土をかぶせ
埋まろうとするジニ


そこから始る彼女の再生


ラストシーンで
たった一つだけ持っている父親との暖かな思い出を抱いて
新しい世界へとたどたどしく
歩き始めるジニの姿に思わず号泣


孤児とはかように
力強さとしたたかさを身につけ
早く大人になる事を強いられるものなのだろうか



とにかく出演する子供たちの演技力にびっくりしました
特に主役のジニの目で語る力強さ
本当に印象に残ります


それを余さず捕らえるアングル、構成、編集の素晴らしさ
映画評で言ってはならない事を言わざるをえません


 言葉や文字で表現できない思いを表すために
 映像や音楽や絵画という芸術が存在するのではないでしょうか


是非一度映像の表現力の凄みを確認する為にもご覧下さい
お勧めです!!!


(まあ、自らの文章力の無さをごまかしてるだけなんですけどねw)


あ、泣くとこ間違ってなかったみたいで
ポップコーンは飛んできませんでした(*´▽`*)




酔いがさめたら、うちに帰ろう。

酔いがさめたら、うちに帰ろう。 予告編


【ストーリー】


塚原安行(浅野忠信)は“戦場カメラマン”として
世界中を駆けまわってきた。
帰国後、人気漫画家の園田由紀(永作博美)と結婚し
ふたりの子供も生まれるが、安行はアルコール依存症となり
妻に暴力を振るうようになる。
やがてふたりは離婚、安行は精神病棟への入院することに。
そこで出会った人々との触れ合いと元妻の由紀の懸命な支えに
安行は不思議な安堵感を覚え、穏やかな日々を取り戻すのだが…。
鴨志田穣による自伝的小説を原作に
彼と彼の妻であり人気漫画家の西原理恵子ら家族たちの日常を描いた物語。



【監督】 東陽一
【脚本】 東陽一
【出演】 浅野忠信
     永作博美
     市川実日子
     利重剛
     藤岡洋介
     森くれあ 他



魔窟探検第二弾はテアトル新宿
歴戦の魔窟らしく地下へと続く階段を降りたその先には!


綺麗なロビーが広がってました(≧∇≦)ノ
お洒落なお姉さんがチケット渡してくれて
席の指定もスムース!
ちょっと早く券だけ購入しに行ったので
時間の指示も懇切丁寧
語尾にハートマーク付きw


だがしかし!一旦食事に出て、指示された時間に戻ると
フロアー一杯に猛者どもが溢れている!


(ふっ、もう一戦終えた俺に恐れるものなど無いぜ!)
とつぶやきつつも、ついに戦いの場に投げ込まれたのかと
足はガクガク、のどはカラカラ、目は周囲をきょろきょろと
隙を見せてたまるものかと身構える


お姉さんの入場時間を告げる声が戦いのゴング
指定された席に向かうと
僕の席の手前にもう座ってる奴がいる


(ふっ、負けねーぜ!)
声を強張らせて
「あ、すみません、奥失礼します」


「あ、はいはい、どーぞどぞ」
(さっと足をどけると同時に自分のドリンクを取って)
「飲み物ホルダー、こっち使って下さい♪」


あれ?フレンドリー(^^;)
そんな紳士淑女な方々がゾロゾロと
開始までには200席の3/4が埋まり静かに開始を待つ


13時30分の回
客層は若者からシニアの方まで雑多
たいていは一人かカップルですね



映画の内容は
漫画家・西原理恵子さんの元夫、鴨志田穣さんの自伝小説
なのでご存知の方も多いかと思います


で、そのお二人を浅野忠信永作博美という名個性派俳優さんに
より実写化


もうこの二人の演技に圧倒されました(笑)


コミカルで現実感のない夫
仕事、家事、子育ての現実に生きる妻
この二人の絶妙な掛け合いで物語りは進行します


冒頭、10回目の吐血で倒れた夫に
「大丈夫、まだ死なないよ」
と平然と言ってのける妻


アルコール依存症という過酷な状況の中でも
入院患者仲間や医師とジョークを飛ばしあう夫


この病気の重大さを分からせつつ
でもシリアス一辺倒にならず
なんか不条理なファンタジーと感じさせてしまうのは
演出の上手さなのでしょう


やっとアルコール依存症から抜け出す光が見えたとき
訪れる過酷な運命


気丈に振舞う妻が現実と向かい合い
調理中に玉ねぎのせいにして泣くシーンは号泣物
もう永作博美にやられました(´;ω;`)


ラストの海辺のシーンで見せる
映画的手法は秀逸


ああ、「うちに帰ろう」の『うち』って家族の事なんだね


悲しい話なのに
涙が流れて止まらないのに
なぜか暖かい気持ちになれるこの映画
ぜひ大切な誰かと一緒にご覧下さい
お勧めです!!!



最後に監督からのメッセージを



このメッセージの謎を解きたい方
今すぐ映画館へGO!(笑)
怖くないよ♪ほんとだよ(≧∇≦)ノ


今日の1曲:誇り高く生きよう by 忌野清志郎